営業本部
事業企画部
事業企画課
課長
株式会社安川電機
-営業本部 事業企画部 事業企画課
Trusted株式会社は、世界中のあらゆる業界、規模の企業がオンラインでつながり、協業するためのプラットフォームを提供することを目的として創業されました。株式会社安川電機様をTrustedのメンバー企業として迎えることができ光栄に思います。この数年における技術および製造業を取り巻く環境の劇的な変化には目を見張るものがあります。安川電機は1915年の創業以来、モーターの製造や自動化をはじめ、さらには”メカトロニクス”を通して、社会の発展と人類の福祉に貢献してきました。
このたび、営業本部 事業企画部 事業企画課の平倉氏にお話をうかがいました。
(インタビュー日:2019年5月13日)
平倉 和浩氏
営業本部 事業企画部 事業企画課 課長
1. 株式会社安川電機について少しお話しください
株式会社安川電機(以下、当社)は、2015年に創立100周年を迎えたテクノロジー・オリエンテッド(技術立社)の会社です。
当社は、社会の発展、人類の福祉に貢献することを経営理念としており、2025年をターゲットに、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域に設定しています。
1つ目の「工場自動化・最適化」に関しては、メカトロニクス技術とICT 技術の融合により、i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)をコンセプトとして新しい自動化ソリューションを提供します。また、既存コア事業である産業用ロボットとモーションコントロール分野におけるグローバルシェアNo.1 を追求していきます。2つ目の「メカトロニクスの応用領域」では、メカトロニクス技術が応用できる新たな分野を探索・実証しながら、事業化を見極めていきます。特に、次の領域の事業化に注力します。
2. スタートアップとの協業によって得た成果とは
当社が外部公開しているベンチャー投資向けサイトにも掲載しているとおり、2018年度までの3年間にベンチャー・キャピタル2社、スタートアップ8社に対して、総額14億円超投資してきました。そのうちの半数は海外企業であり、アメリカ、シリコンバレーのIoTの"LOCIX INC."、フィンランドの蓄電技術の"BroadBit Batteries Oy"と"Teraloop Oy"、そしてイスラエルの3Dプリント技術の"Massivit 3DPrinting Technologies Ltd."とウェアラブル・ロボットの"ReWalk Robotics Ltd."です。
スタートアップとの連携による事業展開の事例としては、たとえば、Rewalk Robotics社は、脊髄を損傷した患者さんの歩行をアシストする装置を作っていますが、当社はRewalk Robotics社とパートナーシップを組み、アジアでの独占販売権を持っています。ヒューマトロニクスの医療、福祉、介護の分野で数年前から展開している「CoCoroe(ココロエ)ブランド」製品のラインナップ強化に繋がっており、お客様に幅広い製品をお届けできています。
また、投資したスタートアップに対して、当社の優秀な技術者たちを派遣して行う技術コンサルティングの提供のほか、共同の実証実験やR&Dも行ってきました。たとえば、当社が得意とするモノを回転させる技術に関して、Teraloop社にコンサルティングをしながら蓄電技術についてのPoC(プルーフ・オブ・コンセプト)を進めました。ほかには、日本のHmcomm社(Hmcomm Inc.)が持つAI音声認識技術と当社のメカトロニクス技術を組み合わせて、お客様に新しい付加価値を提供することを目的として、実証実験に取り組んでいたりします。
3. スタートアップとの連携を検討している分野の技術とは
当社が持っていない技術、または当社が持っている技術を活用できる新しいアプリケーションを持つスタートアップとの連携を考えています。
メカトロニクスの分野では、当社の事業対象のコアであるハードウェアが使いやすくなったり、機能アップさせる技術や、取り込むことでハードの付加価値が上がるデータやIoT、AIなどです。
エナジーセービング分野では、省エネ機器の高機能化と高効率モータの組み合わせによる高付加価値提案を通じて省エネの応用領域を拡大。フード&アグリでは、食品生産工程向け自動化ソリューションの取り組みを強化します。クリーンパワーでは、当社はエネルギーを作ったり効率的に活用する技術を持っていますが、貯める技術を持っていないので、いわゆる「畜エネ」の技術開発をスタートアップと協業して進めてくことに大きな関心があります。ヒューマトロニクスでは、CoCoroeブランドの製品の利便性をより高めるために、先のメカトロニクスと同様に、付加価値を上げるデータやIoT、AIなどについてのニーズがあります。例えば、ユーザーである患者さんがリハビリテーションを通して自分の健康状態の経過を把握したり、患者さんの状態に合わせて、ハードウェア製品の使いやすさを変化させることができる仕組みの実現です。
4. 連携する可能性が高いスタートアップのタイプとは
当社は投資対象のスタートアップのラウンドに条件はありません。
この3年間に限れば、1案件あたり1億円未満の投資条件としていたため、アーリー・ステージの会社への投資が多くなりました。
当社はすでに投資した会社に、状況を見ながら段階的に2回目、3回目のフォローオン投資を行う用意があります。
2019年度から始まる新しい中期経営計画のなかでもこれらの取り組みを継続し、スタートアップに対するIPO支援や、共同事業の立ち上げなどに加えて、投資の活動と資金の枠を広げて、ミドル、レイターなどのステージの会社との連携にも取り組んでいきたいと考えています。
5. 従来、どのようにスタートアップとのパートナーシップを構築しているか
当社は技術の会社であり、販売も行う会社なので、スタートアップとの様々な協業形態がありうると思います。
投資以外にも、お話しした技術コンサルティングの提供や共同の実証実験やR&Dのほかに、当社の代理店を含めた販売チャンネルを利用してスタートアップの製品/サービスを売ることもそれらの選択肢の1つです。
体制について言うと、当社は2016年の下期からスタートアップへの投資に取り組むうえで、意思決定のスピードを意識した制度を作ってきました。当社は3か月ごとにベンチャー投資委員会に対して1件1億円未満の投資案件について諮り、その最終決裁権限者を社長ではなく、現場に近い営業本部長とすることで意思決定を迅速化しています。
ベンチャー投資委員会に諮る前に、協業の事業化について考える委員会を通します。そこに当社の各事業部(モーション事業部、インバーター事業部、ロボット事業部、システムエンジニアリング事業部)の事業企画部長と開発研究所が参加します。開発研究所は、5~10年先の事業化を目指す技術や社会ニーズを判断する部門です。ここでの議論によって、協業が既存の技術に関するものであるか、または将来のものかを判断して、支援の可否を決定します。
我々の事業企画課について言うと、今年度のメンバーはバイリンガルで海外での生活や留学の経験があるグローバル人材で構成されています。アメリカ、ヨーロッパ、インドの3つの地域には、同じミッションによって、現地のスタートアップの情報を集約して、新規事業を立ち上げる窓口になる我々のビジネス・パートナーを配置しており、これらの取り組みによって、現地との言語的、文化的な障壁を取り除こうとしています。
さらに、2020年度からは本社に安川テクノロジーセンタを立ち上げて、事業部と開発研究所の連携を強化し、既存事業強化と新規事業創出を加速していきます。このセンターとわれわれのベンチャー投資の仕組みを融合させて、スタートアップとの協業を推進していくことになります。
条件が合えば、当社の技術のうち、当社だけでは事業化が難しいものを一部公開して、スタートアップの力を借りて、事業化に取り組むことも考えられます。
Trusted株式会社は、世界中のクロス・ボーダー、クロス・インダストリーの事業連携を強力にサポートするB2Bプラットフォームとサーチエンジンを実装しています。
お問い合わせ先について
貴社がスタートアップで、安川電機との連携について関心がある場合、 contact@trusted-inc.com までご連絡ください。